クラウドWAFとは?オンプレミス型との比較で分かる選び方とメリット

クラウドWAFとは?オンプレミス型との比較で分かる選び方とメリット
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Webアプリケーションファイアウォール(WAF)は、Webアプリケーションに対する攻撃を防ぐための重要なセキュリティ対策です。特に近年、クラウドWAFの導入が急増しており、多くの企業がオンプレミス型からの移行を検討しています。

クラウドWAFとオンプレミス型WAF、どちらを選ぶべきか?この選択は、企業のセキュリティ要件、予算、運用体制によって大きく異なります。それぞれの形態には独自のメリットとデメリットがあり、自社のビジネスニーズを正しく把握することが成功への鍵となります。

本記事では、クラウドWAFとオンプレミス型WAFを、セキュリティ、コスト、運用性の3つの観点から詳しく比較します。さらに、防御できる攻撃の種類や具体的な選定ポイントも解説し、貴社に最適なWAF選びをサポートします。

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目次

WAFの役割と機能

WAFの主な役割は、Webアプリケーションに対する様々な種類の攻撃を防ぐことです。特に、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)などの攻撃からWebアプリケーションを守るために使用されます。また、Bot攻撃やDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃などもWAFが防御の対象としています。
WAFは、OSI基本参照モデルの第7層(アプリケーション層)で動作するため、Webアプリケーションに特化したセキュリティ対策を提供することができます。従来のネットワークファイアウォールやIPS/IDS(侵入検知・防御システム)では防げないWebアプリケーション特有の脆弱性を保護することが可能です。

クラウドWAFとは?基礎知識と特徴

クラウドWAF(クラウド型WAF)とは、インターネット経由で提供されるWebアプリケーションファイアウォールのことです。従来のオンプレミス型と異なり、自社でハードウェアを用意する必要がなく、サービスとして利用できるのが大きな特徴です。

クラウドWAFが選ばれる理由

近年、クラウドWAFの導入が増加している背景には、以下の要因があります。

  • 導入の手軽さ**:DNS設定の変更のみで導入可能なものが多く、最短1日で稼働開始できる
  • コストの適正化**:初期投資を抑え、月額料金制で予算管理がしやすい
  • 常に最新のセキュリティ**:サービスプロバイダーが自動でシグネチャを更新するため、新しい攻撃にも迅速に対応
  • 専門知識が不要**:セキュリティの専門家がいない企業でも導入・運用が可能

これらの利点から、中小企業から大企業まで幅広い規模の組織でクラウドWAFの採用が進んでいます。

クラウド型WAFとオンプレミス型WAFの違い

クラウド型WAF

クラウド型WAFは、インターネット上のサービスプロバイダーが提供するWAFサービスで、主にSaaS(Software as a Service)モデルで提供されます。このタイプのWAFは、インターネットを通じて外部のデータセンターにあるWAFサーバーを使用し、ユーザーはそのインフラを自分で管理する必要がありません。

メリット

  • スケーラビリティ
    トラフィック量の急増や新規アプリケーションの追加にも柔軟に対応できます。リアルタイムでのスケールアップが可能なため、急なアクセス増加にも安心です。
  • コスト効率
    初期導入コストが低く、ハードウェアやソフトウェアの購入、メンテナンス、アップデートを自社で行う必要がないため、運用コストを抑えることができます。多くのクラウド型WAFはサブスクリプションベースで提供され、使った分だけ支払うため、コストの透明性が高いです。
  • 運用負担の軽減
    サービスプロバイダー側で運用やメンテナンス、セキュリティパッチの適用が行われるため、運用負担が軽減されます。特にセキュリティの専門知識が不足している企業にとって、クラウド型WAFはハードルは低く有用なものになります。
  • グローバルなシステム
    クラウド型WAFは、多くの場合、複数の地域に分散したデータセンターを持っており冗長化されています。地理的に分散した攻撃に対しても迅速に対応できたり、一部WAFサーバーの障害が起きた場合でも継続してサービスを利用できます。
  • 導入が迅速
    DNS設定の変更だけで導入できるため、最短1日での稼働が可能です。システム改修やハードウェア追加が不要なため、迅速なセキュリティ強化を実現できます。

デメリット

  • カスタマイズ性の制約
    クラウド型WAFは、標準的なセキュリティルールが適用されているため、特定のビジネスニーズやアプリケーションに合わせた高度なカスタマイズが難しいことがあります。カスタムルールの導入に制限がある場合もあります。
  • データの可視性が低い
    オンプレミス型のソリューションと比較して、クラウド型WAFではリアルタイムのトラフィックやログの可視性が制限されることがあります。また、サービスプロバイダーが提供するログや監視機能に依存することになるため、企業独自の詳細な分析やモニタリングが難しいことがあります。

オンプレミス型WAF

オンプレミス型WAFは、企業や組織が自社のデータセンター内に設置し、直接管理するタイプのWAFです。自社サーバーに導入されるため、完全なカスタマイズや管理が可能であり、セキュリティやパフォーマンスに関して細かい調整ができます。

メリット

  • 高度なカスタマイズ
    オンプレミス型WAFは、企業独自の要件に基づいた細かいカスタマイズが可能です。特に、複雑なセキュリティルールや特殊な業務プロセスに対応する場合、オンプレミス型WAFは柔軟性を発揮します。
  • データの可視性が高い
    自社のインフラに直接構築するため、全てのトラフィックやログデータをリアルタイムで監視し、分析することができます。これにより、内部のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に合わせた対応が可能です。
  • レイテンシの低さ
    オンプレミス型WAFは、自社のネットワーク内で直接トラフィックをフィルタリングするため、ネットワークレイテンシが低く、特に大規模なエンタープライズ環境やリアルタイム性が求められるアプリケーションに適しています。

デメリット

  • 高コスト
    オンプレミス型WAFは、ハードウェア、ソフトウェア、そして運用スタッフのコストがかかります。初期導入費用が高く、さらにシステムのメンテナンスやアップデートのための継続的な投資が必要です。また、物理的なサーバースペースの確保も必要です。
  • スケーラビリティの制約
    オンプレミス型WAFは、ハードウェアの性能に依存するため、急激なトラフィックの増加に対して迅速に対応するのが難しい場合があります。追加のハードウェアが必要になることがあり、拡張性に限界があります。
  • 運用負担の増加
    オンプレミス型WAFは、セキュリティパッチやルールセットの更新、システムのメンテナンスなど、運用に多大な労力を要します。特に、専門的なセキュリティ知識が必要なため、専任のスタッフが必要になることが多いです。

クラウドWAFで防御できる攻撃の種類

クラウドWAFは、Webアプリケーションに対する多様な攻撃から保護します。主な対象攻撃は以下のとおりです。

防御可能な代表的な攻撃

SQLインジェクション

データベースを不正に操作しようとする攻撃。クラウドWAFは不正なSQLコマンドを含むリクエストを検知してブロックします。

クロスサイトスクリプティング(XSS)

悪意のあるスクリプトをWebページに埋め込む攻撃。ユーザー情報の窃取やセッションハイジャックを防ぎます。

DDoS攻撃・DoS攻撃

大量のリクエストでサーバーをダウンさせる攻撃。クラウドWAFは分散した拠点で攻撃を吸収し、サービス停止を防ぎます。

ディレクトリトラバーサル

サーバー内の本来アクセスできないファイルへの不正アクセスを試みる攻撃。

OSコマンドインジェクション

サーバーのOSコマンドを不正に実行しようとする攻撃。

防ぎにくい攻撃

すべての攻撃を完全に防げるわけではありません。以下のような攻撃には追加対策が必要です。

  • ゼロデイ攻撃**:まだ対策が知られていない新しい攻撃手法
  • 標的型攻撃**:特定の組織を狙った高度な攻撃
  • 内部からの攻撃**:正当な認証情報を用いた内部不正

これらの攻撃に対しては、クラウドWAFに加えて、脆弱性診断や従業員教育などの多層防御が重要です。

セキュリティ観点からの比較

クラウド型WAFとオンプレミス型WAFの両者は、いずれも高いセキュリティを提供しますが、アプローチが異なります。クラウド型WAFは、最新の脅威に対して迅速に対応する能力があります。サービスプロバイダーはグローバルな脅威インテリジェンスを活用し、新たな攻撃に対する対策を即座に適用できます。一方で、オンプレミス型WAFは、内部のセキュリティポリシーに基づいた細かい設定が可能で、企業独自のセキュリティ要件に対応する柔軟性があります。 特に重要な点は、データの保護と可視性です。クラウド型WAFは、インターネットを経由して外部のWAFサーバーにデータが送信されるため、データの可視性や制御が限定される可能性があります。一方、オンプレミス型WAFは、トラフィックが自社ネットワーク内で処理されるため、データの可視性があり要件にあわせた制御が可能です。

コスト観点からの比較

クラウド型WAFは初期導入コストが低く、サブスクリプションベースで利用できるため、特に中小企業やスタートアップにとっては魅力的です。必要なリソースを柔軟に増減できるため、コストの予測も容易です。 一方、オンプレミス型WAFはハードウェアや運用コストがかかります。大型のエンタープライズ環境では、初期投資後の運用コストを長期的に見ると、オンプレミス型の方が、コスト効率が良い場合もありますが、短期間での導入や迅速な拡張が必要なケースではクラウド型の方が柔軟です。

運用性観点からの比較

運用性の観点から見ると、クラウド型WAFが優位です。クラウド型WAFは、自社でのメンテナンスや管理が不要であり、特に専門的なセキュリティスタッフが不足している企業にとっては大きなメリットです。サービスプロバイダーが、24時間体制でセキュリティを監視し、迅速にアップデートを適用するため、最新の脅威に対しても自動的に対応できます。 一方、オンプレミス型WAFは運用が複雑で、専門知識が必要です。企業が全てのメンテナンス、ルール更新、システム監視を行わなければならず、特にセキュリティ運用を外部に委託していない場合、運用負担が大きくなります。

クラウドWAFの選び方|5つの比較ポイント

クラウドWAFを選定する際は、以下の5つのポイントを確認してください。

1. 防御できる攻撃の種類

SQLインジェクションやXSSなど基本的な攻撃に加え、DDoS攻撃やゼロデイ攻撃にも対応しているか確認します。防御範囲が広いほど、総合的なセキュリティレベルが向上します。

2. シグネチャの更新速度

新しい脆弱性が公表された際、どれだけ迅速にシグネチャを更新できるかが重要です。過去の実績を確認し、24時間以内に対応できるクラウドWAFを選びましょう。

3. サポート体制

24時間365日の日本語サポートがあるか、緊急時の対応体制はどうかを確認します。特に誤検知が発生した場合、迅速なサポートが顧客への影響を最小限に抑えます。

4. 導入の容易さ

DNS切り替えだけで導入できるか、システム改修が必要かを確認します。既存システムへの影響が少ないクラウドWAFほど、導入リスクが低くなります。

5. 料金体系

月額固定か従量課金か、自社の利用状況に合った料金体系を選びます。クラウドWAFの相場は月額1万円〜5万円程度ですが、サイト数やトラフィック量によって変動します。

まとめ

クラウドWAFとオンプレミス型WAF、どちらを選ぶべきかは、企業のセキュリティ要件、運用体制、予算によって決まります。

クラウドWAFがおすすめの企業

・迅速にセキュリティ対策を強化したい
・初期投資を抑えたい
・セキュリティ専門の担当者がいない
・Webサイトのトラフィックが変動しやすい
・複数拠点でサービスを展開している

オンプレミス型WAFがおすすめの企業

・厳格なセキュリティポリシーがある
・データを完全に自社管理したい
・高度なカスタマイズが必要
・長期的なコスト削減を重視する
・既存の大規模インフラがある

近年は、クラウドWAFとオンプレミス型WAFを併用する「ハイブリッド構成」を採用する企業も増えています。重要なシステムはオンプレミス型で管理し、その他のサービスはクラウドWAFで保護するなど、柔軟な組み合わせも検討してみてください。

まずは無料トライアルやデモを活用し、実際の使い勝手を確認することをおすすめします。

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