脆弱性とは?意味・原因・企業がとるべき対策をわかりやすく解説

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脆弱性(ぜいじゃくせい)とは

脆弱性とは、コンピュータのOSやソフトにあるプログラムの不備(セキュリティホール)に加え、設定ミスや管理体制などの「運用の弱点」も含めた情報セキュリティ上の欠陥のことです。
具体的には、プログラムのバグだけでなく、「初期パスワードの放置」「修正プログラムの未適用」「不適切なアクセス権限」といった運用の隙も含まれます。

サイバー攻撃の被害が世界規模で増え続ける中、情報セキュリティへの関心はかつてなく高まっています。その根本にあるのが「脆弱性」です。多くの企業や個人がこの脆弱性を突かれて被害を受けています。本記事では、脆弱性とは何か、なぜ生まれるのか、そして企業が講じるべき具体的な対策をわかりやすく解説します。

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目次

脆弱性とは?

脆弱性は「ぜいじゃくせい」と読みます。「脆弱」とは「もろくて弱いこと」を意味し、IT分野ではコンピュータやソフトウェアのセキュリティ上の弱点を指します。正式には、OSやソフトウェアのプログラムの不具合(バグ)や設計上のミスが原因で生じるサイバーセキュリティ上の欠陥のことです。

脆弱性を身近な例で理解する

家のドアに鍵がかかっていない状態や、窓に隙間がある状態を想像してみてください。泥棒はその隙間から侵入します。サイバー攻撃者も同様に、コンピュータやソフトウェアの「隙間=脆弱性」を探して不正侵入を試みます。

出典:国民のためのサイバーセキュリティサイト

脆弱性が存在する場所

脆弱性はパソコンだけでなく、インターネットにつながるあらゆるデジタル機器に潜む可能性があります。

  • パソコン・スマートフォン・タブレット等のモバイルデバイス
  • Webカメラ・ゲーム機・スマート家電等のIoT機器
  • Wi-Fiルーター等のネットワーク機器に組み込まれたプログラム(ファームウェア)
  • 企業のホームページやECサイト等のWebアプリケーション

つまり、インターネットに接続されている機器はすべて、何らかの脆弱性を持つ可能性があります。

特に近年は、VPN装置のファームウェアに生じた脆弱性を悪用した不正アクセスが増加しており、ランサムウェアへの感染やシステム停止、営業秘密の流出といった深刻な被害が報告されています。海外の保険会社Corvus Insuranceのレポートによると、2024年第3四半期のランサムウェア攻撃のうち約30%がVPNの脆弱性や脆弱なパスワードを初期侵入経路として利用していました。

ランサムウェアについて詳しくはこちらのコラムもご参照ください。

また、企業のホームページやECサイトのプログラムに脆弱性がある場合、放置するとマルウェアをばらまくサイトに書き換えられる、サイト利用者の個人情報やクレジットカード番号が盗み見られるといったリスクがあり、企業の信頼低下にもつながります。攻撃者は脆弱性を利用してサイバー攻撃を仕掛けてくるため、脆弱性を放置しないことが重要です。

脆弱性はなぜ生まれるのか?

脆弱性は、プログラムの不具合や設計上のミス、セキュリティ対策不足、外部からの攻撃や誤操作など、さまざまな要因で生じます。

コンピュータやIoT機器のプログラムは開発段階でテストを行い、不具合を取り除いてから出荷されます。しかし、テスト後に新たな脆弱性が発見されることは珍しくなく、すべてを事前に取り除くことは難しいのが実情です。また、新たな攻撃手法が登場することで、これまで問題のなかったプログラムが脆弱となるケースもあります。

出荷後に脆弱性が見つかった場合、メーカーは修正プログラム(修正パッチ)を配布します。ただし、メーカーがまだ把握していない脆弱性も存在します。この未知の脆弱性を悪用したサイバー攻撃を「ゼロデイ攻撃」と呼び、修正パッチが存在しないため防御が難しいとされています。

脆弱性の国際的な管理体制(CVEとCVSS)

世界では脆弱性の情報共有と管理を標準化するための仕組みが整っています。技術的な脆弱性が発見されると、米国政府の支援を受けたMITRE社が「CVE(共通脆弱性識別子)」と呼ばれる固有の番号を採番します。この番号があることで、異なるメーカーやセキュリティベンダが同じ脆弱性について情報を参照・共有しやすくなります。

また「CVSS(共通脆弱性評価システム)」と呼ばれる指標では、脆弱性の深刻度を0〜10のスコアで表します。スコアが高いほど危険度が高く、優先的に対処が必要な脆弱性であることを示します。日本でも、IPA(情報処理推進機構)とJPCERT/CCが共同運営する「JVN iPedia」がCVEの枠組みに参加し、国内向けに脆弱性情報を提供しています。こうした国際的なスコアを知ることで、自社システムにとって本当に危険な脆弱性を優先的に修正する判断に役立てられます。

脆弱性を突かれやすいポイント

個人パソコン

主にパソコン、サーバ、ネットワークのそれぞれで注意すべきポイントを見ていきましょう。

パソコン

パソコンにはソフトウェア・パスワード・インターネット、3つの脆弱性を突かれやすいポイントがあります。

1.ソフトウェア

OSやソフトウェアの更新を怠ると、既知の脆弱性が放置されたままになります。管理者のIT知識不足や長期間の未使用が原因であることも多く、気づかないうちにリスクが蓄積されていきます。

2.パスワード

生年月日や「123456」のような推測されやすいパスワードや、複数システムで同じパスワードを使い回すことはセキュリティ上の弱点になります。強固なパスワードポリシーと多要素認証(MFA)の導入が有効です。

3.インターネット

フィッシング詐欺や悪意のあるWebサイトへのアクセスも脆弱性を生む原因となります。マルウェアに感染したパソコンが社内ネットワーク全体への攻撃の起点となるケースもあるため、注意が必要です。

サーバ

サーバは顧客情報や技術情報などの機密データを保有しており、攻撃者にとって魅力的な標的です。外部に公開されているWebサーバは特に攻撃を受けやすく、セキュリティ対策が不十分な場合や古いソフトウェアを使用している場合にリスクが高まります。Webアプリケーションのセキュリティリスクとしては、国際的なガイドライン「OWASP Top 10」でまとめられているような脆弱性のパターンが攻撃に悪用されるケースも少なくありません。

ネットワーク

パソコン・サーバ・プリンター・ルーターなど複数のデバイスが接続されたネットワークでは、1台の機器が侵害されると、攻撃者はその機器を踏み台にしてネットワーク全体へ攻撃を拡大することがあります。社員や顧客の個人情報・企業秘密が漏えいするリスクも高く、甚大な被害に発展する恐れがあります。

スマートフォン・タブレット等のモバイルデバイスや、WebカメラなどのIoTデバイスも同様に脆弱性を突かれやすいポイントです。これらへの対策が、全体的なセキュリティ水準の底上げにつながります。

脆弱性を起点としたサイバー攻撃を防ぐ方法

サイバー攻撃を防ぐ方法

脆弱性にはさまざまなリスクが伴います。ここからは、具体的な対策を5つご紹介します。

1.修正パッチをこまめに適用する

メーカーが修正パッチを配布しても、利用者が適用しなければ意味がありません。配布後はシステムへの影響を確認した上で速やかに適用するよう心がけましょう。自動アップデート機能がある製品は積極的に活用することをお勧めします。

2.利用中の機器・ソフトウェアの最新情報を収集する

脆弱性や修正パッチに関する情報を見落とさないよう、常にアンテナを張っておく必要があります。自社のIT資産を正確に把握した上で、IPA(情報処理推進機構)JPCERT/CCJVN iPediaなどの情報源を日々確認しましょう。

3.古い機器は計画的に入れ替える

サポート期限が切れた機器やOSは、脆弱性が見つかっても修正パッチが提供されないことがあります。古いルーターや複合機も同様です。サポート期間が終了する前に入れ替えを計画し、リスクを低減しましょう。

4.利用するソフトウェアのアップデート方針を確認する

有償ソフトウェアでは製造者責任で修正パッチが作成されますが、フリーウェアの中には「脆弱性が見つかってもアップデートしない」と明言しているものもあります。また有償ソフトウェアでも、パッチ提供には保守契約が必要な場合があります。導入前にアップデート対応方針を確認することが重要です。

5.専門家による診断を受ける

自社の取り組みだけでは見えない脆弱性も存在します。第三者の目でシステムを検証することで、見落としを減らし、優先して対処すべきポイントを明確にすることが可能です。

専門機関による診断には次のようなメリットがあります。

  • 詳細な脆弱性診断が可能
  • 最新のサイバー攻撃に対応できる
  • 客観的な評価が得られる
  • 顧客や取引先からの信頼性向上につながる

特に、Webアプリケーションや社内ネットワークを対象とした「脆弱性診断」や、実際の攻撃者と同じ手法で侵入を試みる「ペネトレーションテスト」は、セキュリティの実態を把握する上で有効な手段です。少しでも不安がある場合は、専門家への相談を検討してみてください。

脆弱性対策に有効なALSOKのサービス

脆弱性は放置するとさまざまなリスクにつながり、場合によっては企業に深刻な被害をもたらします。また、IT資産を適切に管理できていないこと自体が脆弱性の原因になる点も見逃せません。

「ALSOK IT資産管理」

社内パソコンにインストールされたソフトウェアのバージョンや修正パッチの適用状況を一元管理可能です。脆弱性情報は自動収集されるため、どのソフトウェアが古いかを効率的に把握でき、管理者が遠隔でソフトウェアを更新することも可能です。クラウドで情報を保管するため、離れたオフィスのパソコン状況も確認可能です。

「ALSOK UTM運用サービス」

インターネットの出入口にUTMと呼ばれるセキュリティ機器を設置し、通信を常時監視するオールインワンのネットワークセキュリティです。UTMのファームウェアに脆弱性が見つかった場合も、必要に応じてALSOKが遠隔でアップデートするため、常に安全な状態を保てます。

セキュリティ診断サービス

サイバーセキュリティの専門家が企業のWebサイトやアプリケーションを診断し、脆弱性の有無と必要な対策をアドバイスします。詳しくはALSOKまでお問い合わせください。

脆弱性に関するよくある質問(Q&A)

Q. 脆弱性とセキュリティホールは何が違うのですか?

A. 一般的にはほぼ同じ意味で使われますが、厳密には異なります。セキュリティホールはソフトウェアのバグや設計ミスなど技術的な欠陥を指すのに対し、脆弱性はそれに加えて運用体制の不備や設定ミスなど、より広い概念を含みます。たとえば、誰でも推測できる簡単なパスワードの使用も「脆弱性」に当たります。

Q. ゼロデイ攻撃はどうすれば防げますか?

A. 修正パッチが存在しないゼロデイ攻撃を完全に防ぐことは難しいのが現実です。ただし、普段から修正パッチを速やかに適用する習慣をつけること、UTMや次世代ファイアウォール等で通信を監視すること、脆弱性診断でリスク箇所を事前に把握しておくことが被害を最小化する上で有効です。

Q. CVEやCVSSスコアは何の役に立ちますか?

A. CVEは脆弱性ごとに付与される国際的な識別番号です。CVSSはその脆弱性の深刻度を0〜10点で示すスコアで、数値が高いほど危険度が高いことを意味します。これらを活用することで、数ある脆弱性の中から自社にとって優先的に対処すべきものを判断しやすくなります。

まとめ

本記事では、脆弱性を放置するリスクと対策について解説しました。脆弱性を放置すると、サイバー攻撃を受けるリスクが高まります。攻撃者は企業の隙をついて攻撃を仕掛けてきます。ソフトウェアやファームウェアのアップデート、最新機器への入れ替え、専門機関による診断といった対策を地道に続け、脆弱性を突いたサイバー攻撃から企業と情報資産を守りましょう。

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