IT資産管理とは?中小企業も押さえておきたい基礎知識と導入のポイント
IT資産管理とは
IT資産管理とは、会社が持つパソコン、サーバー、ソフトウェアなどのIT機器や資産を一元的に把握・管理するしくみです。どの機器が誰の手元にあるか、ライセンスの有効期限はいつか、などを記録・追跡することで、コスト削減やセキュリティリスクの低減、法令遵守を実現します。
パソコンやソフトウェアといったIT資産の管理は、今や企業規模を問わず重要な経営課題です。しかし実態を見ると、管理が不十分なまま放置されていたり、形だけの運用で本来の効果が出ていない企業が少なくありません。気づかないうちに余分なコストが発生したり、セキュリティの穴が生じたりするリスクは、大企業だけの話ではありません。
この記事では、IT資産管理とは何か、なぜ必要なのかを整理した上で、効率的に管理するためのシステムのしくみと選び方をご紹介します。自社のIT資産をしっかり守るため、まずは現状の管理体制を見直してみましょう。
目次
IT資産管理とは
IT資産管理とは、ハードウェア・ソフトウェア・ライセンスといった企業のIT関連資産を把握・維持・最適化する一連の管理活動を指します。不動産や設備と同様に、IT資産は企業にとって重要な財産です。近年はコンプライアンス対応やセキュリティ強化を目的に取り組む企業が増えており、その重要性は年々高まっています。
社内のIT資産を正確に把握することで、使われていない機器やライセンスへの無駄な支出を防ぎ、更新やアップデートの漏れによるリスクを減らすことが可能です。
IT資産管理が必要な理由
では、なぜIT資産管理が求められるのでしょうか。運用・コンプライアンス・セキュリティという三つの観点から整理します。
デジタル化の進展
テレワークの普及により、企業が管理すべきデバイスは以前の2〜3倍規模に増えたとも言われています。自宅やサテライトオフィスの端末、個人デバイスの業務利用(BYOD)、クラウドサービスの拡大によって、IT資産の所在や状態をリアルタイムで把握することが難しくなっています。従来の台帳管理ではすでに限界があり、資産状況を即時に可視化できるしくみが求められています。
サイバー攻撃の高度化
近年のサイバー攻撃は、従来型のウイルス対策ソフトだけでは防ぎにくい手口が主流になっています。特にゼロデイ攻撃やランサムウェアによる被害は深刻で、古いソフトウェアの脆弱性を悪用した侵入が多く報告されています。全端末のセキュリティパッチ適用状況を常時確認し、迅速に対処できる管理体制が不可欠です。
コンプライアンスへの対応
MicrosoftやAdobe、オラクルなど主要ソフトウェアベンダーは、ライセンス監査の厳格化を進めています。ライセンス違反が発覚した場合の賠償額は非常に高額になることがあり、企業経営に直接影響する問題です。また、個人情報保護法の改正やGDPRなどの国際規制によって、IT資産を通じた個人データ管理の責任も重くなっています。法的リスクを避けるためにも、きちんとした管理体制の構築が急務です。
コスト削減への意識
企業のIT投資は増え続けていますが、その一部は使われていないライセンスや機器への支出に充てられているとも指摘されています。特にサブスクリプション型ソフトウェアの普及で、実態を把握しないまま課金が続くケースが増えています。IT予算の無駄をなくし、投資効果を高めることは、規模を問わず経営上の重要課題です。
IT資産管理システムのしくみ
IT資産管理を効率よく行うには、専用のIT資産管理システムの活用がおすすめです。主な機能としくみをご紹介します。
IT資産管理システムの基本機能
IT資産管理システムにはさまざまな機能が搭載されています。主な機能は以下のとおりです。
| 機能 | 機能詳細 | 利用シーンの例 |
|---|---|---|
| インベントリ管理 | 企業のIT資産に関する情報の一括管理 | ハードウェア・ソフトウェア等のIT資産を一括管理することで運用を効率化し、コストを削減する。 |
| ソフトウェア資産管理(SAM)、 ライセンス管理 |
ソフトウェアの保有状況や使用状況の管理 | 保有ライセンス数とインストール数を照合し、適切に管理する。 |
| セキュリティパッチ管理 | 端末にインストールされたソフトウェアの状況確認、 異常発見時の把握・管理 |
サイバー攻撃の影響を受けやすいOSやソフトウェアの脆弱性を把握し、適切に管理することで企業のセキュリティリスクを低減する。 |
| 操作ログ管理 | アプリケーションを含むさまざまな操作ログを記録 | トラブル発生時に誰がいつどのような操作をしたかを確認できる。ログ収集を全社員に周知することでセキュリティ意識の向上・不正行為の抑止にもつながる。 |
| デバイス制御 | USBメモリや外付けハードディスク等への利用制限 | 外部からの不正アクセスやウイルス感染、情報の不正持ち出しを防ぎ、社内のセキュリティ意識向上にも寄与する。 |
| 検疫システム | ■認証・検査、隔離、治療および回復の4機能で構成 認証・検査:パソコンの認証とセキュリティポリシーに基づく危険レベルの判定 隔離:対策が必要と判定した端末のネットワーク接続を制限 治療:隔離環境でのセキュリティ対策の実施 回復:対策完了後のネットワーク接続制限の解除 ■問題のある端末からの社内接続を拒否 |
社内ネットワークに接続する端末のウイルス対策ソフトが最新状態かを確認する。問題のある端末を遮断することで社内ネットワークの安全性を維持する。 |
IT資産管理の対象となるものは?
IT資産管理の対象は、ハードウェア・ソフトウェア・ライセンスの三つに大別されます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
ハードウェア
パソコン本体や周辺機器、ネットワーク機器など、目に見える物理的な機器のことです。
- パソコン
- サーバ
- USBメモリ
- スマートフォン
- タブレット
- モデム
- プリンタ
- モニタ
ソフトウェア
パソコンやタブレットにインストールされているソフトウェア全般が対象です。IT資産管理では、バージョンや更新状況、ライセンス証書、稼働状況なども管理の範囲に含まれます。
- Windows等のOS
- WordやExcel等のOfficeアプリケーション
- ウイルス対策ソフト
- 自社開発の業務アプリケーションやミドルウェア 等
ライセンス
ライセンス(=ソフトウェアの使用権)の管理を指します。契約内容によってインストール可能な台数や利用できる端末数が決まっており、適切に管理しないとライセンス違反になるリスクがあります。どの端末に何をインストールしているかを端末・ソフトウェアと紐付けて管理することが必要です。
代表的なライセンス形態は次のとおりです。
ユーザーライセンス
指定されたユーザー数だけソフトウェアを使用できる形態
例:10ユーザー分を契約した場合、最大10名が利用可能
パッケージライセンス
特定のソフトウェアパッケージ全体の使用を許可するライセンス
プロセッサライセンス
ソフトウェアが実行されるCPUのコア数に応じてライセンス数が決まる形態
例:4コアのCPUで実行する場合、4コア分のライセンスが必要
サーバライセンス
特定のサーバ上でソフトウェアを動作させるためのライセンス
クライアントアクセスライセンス
サーバ上のソフトウェアやサービスにアクセスするためのライセンス
同時接続ライセンス
一度に同時使用できるユーザー数を定めた形態
例:5ユーザーの同時接続ライセンスでは、同時に5名まで使用可能
IT資産管理システムを選ぶポイント
IT資産管理システムを導入する際に重視したいポイントをご紹介します。
導入目的を明確にする
IT資産管理システムは、目的によって必要な機能が変わります。セキュリティ強化が主な目的であれば、操作ログ管理・デバイス制御・アラート機能が充実したシステムが向いています。コンプライアンス対応が目的であれば、ソフトウェアの一括管理機能が重要になります。「導入して何を解決したいか」を先に整理した上でシステムを選ぶのが、導入成功のポイントです。
自社に合った提供形態を選ぶ
IT資産管理システムの提供形態は、大きくオンプレミス型とクラウド型に分かれます。オンプレミス型は自社でサーバや機器を用意し、社内ネットワーク上で独自環境を構築可能ですが、初期導入費用や運用負担が大きくなりがちです。一方クラウド型は、自社でサーバを持たずに済むため初期コストを抑えられ、テレワーク環境など社内ネットワーク外のデバイス管理にも対応しやすいのが特長です。情報システム担当者がいない中小企業には、クラウド型が導入しやすい選択肢となるケースが多くあります。
ログの収集精度を確認する
システム選びの前に、収集できるログの種類を確認しておきましょう。たとえば機密情報の持ち出し防止を目的とするなら、サーバへのアクセスログだけでなく、ファイル編集履歴・メール送信ログ・印刷ログ・USB接続履歴まで記録できるシステムが適しています。搭載機能とともに、自社に必要な情報を収集できるかどうかを事前に確認することが大切です。
手厚いサポート体制があるか確認する
機能が多いIT資産管理システムは、導入当初は設定や接続でトラブルが起きることがあります。万一の場合に迅速に対応してもらえるか、サポート体制を確認しておきましょう。平日だけでなく休日・夜間も対応可能で、電話・メール・チャットなど複数の手段で問い合わせできるサービスだと、より安心して利用可能です。
ALSOKのIT資産管理運用支援「ALSOK IT資産管理」
ALSOKでは、システムの導入から運用まで一括でサポートできる「ALSOK IT資産管理」をご提供しています。パソコン・スマートフォン・タブレット・プリンタなどあらゆるIT資産を一元管理し、ソフトウェアのバージョン情報の一括収集、USBメモリ等の外部メディアへのデータコピー制御による不正持ち出し防止、悪質なWebサイトへのアクセスブロックといった機能に対応しています。操作ログなどの収集情報は月次レポートでご確認いただくことも可能です(オプション)。
情報システム担当者がいない中小企業でも導入しやすいクラウド型で、5ライセンスからご利用いただける点も特長のひとつです。
「ALSOK IT資産管理」の導入効果イメージ
パソコン台数の増加に伴い、機器の管理や脆弱性によるウイルス感染リスクに課題を抱えていた企業で、「ALSOK IT資産管理」を導入したところ、全パソコンの操作ログ・ソフトウェア・セキュリティパッチの状況を管理画面で一元的に把握できるようになりました。また、24時間365日対応のサポートセンターを利用できる安心感も、継続的な運用を後押ししています。
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よくある質問(Q&A)
IT資産管理は大企業だけが取り組むものですか?
いいえ、規模を問わずすべての企業に関係します。パソコンが5台以上ある環境であっても、ライセンス管理やセキュリティパッチの把握には想定以上の手間がかかります。クラウド型の管理ツールであれば初期コストを抑えて導入できるため、中小企業にも現実的な選択肢です。
IT資産管理とセキュリティ対策は別物ですか?
密接に関係しています。IT資産管理を行うことで「どの端末にどのソフトが入っているか」「セキュリティパッチが当たっているか」を把握できるため、セキュリティ対策の土台になります。IT資産管理システムはセキュリティ機能(デバイス制御・操作ログ・検疫など)を併せ持つ場合が多く、両者を一体的に運用可能です。
情報システム担当者がいなくても運用可能ですか?
クラウド型のIT資産管理システムであれば、自社にサーバを設置する必要がなく、専門的な技術知識がなくても運用を始めやすい構成になっています。また、「ALSOK IT資産管理」のように導入・設定変更・アラート対応まで運用代行してくれるサービスを選べば、担当者の負担をさらに抑えられます。
ライセンス管理を怠ると何が起きますか?
ライセンス数を超えてソフトウェアをインストールしていた場合、ベンダーの監査で発覚すると高額な賠償請求につながるリスクがあります。また、未更新のライセンスを使い続けるとサポート外の状態となり、脆弱性が放置されることにもなりかねません。定期的な棚卸しと管理ツールの活用が有効です。
まとめ
IT資産管理は、単なるコスト削減の手法ではなく、企業のデジタル運営を支える重要な基盤です。適切なシステムを選び、正しく運用することで以下の効果が期待可能です。
- コスト最適化:無駄な機器・ライセンスへの支出を削減し、IT予算の精度を高める
- リスク管理:セキュリティの強化とコンプライアンス遵守を両立する
- 業務効率化:管理工数を減らし、意思決定をスムーズにする
- 競争力の維持:IT投資の効果を最大化し、事業成長を支える
「ALSOK IT資産管理」は、世界85,000社以上で使われているクラウド型IT資産管理ツール「ISM CloudOne」をベースに、ALSOKの運用サポートをセットで提供するサービスです。導入支援から24時間365日の問い合わせ対応まで、社内に専任担当者がいない環境でも安心してご利用いただけます。


