マルバタイジングとは?不正広告による被害の実態と有効な対策方法

マルバタイジングとは?不正広告による被害の実態と有効な対策方法
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オンライン広告はデジタルマーケティングに欠かせない手段として広く活用されています。しかし近年、「マルバタイジング」と呼ばれる不正な広告配信手法により、個人や企業が深刻な被害を受けるケースが増えています。この脅威の特徴は、信頼性の高い広告ネットワークを介して攻撃を仕掛けるため、従来の広告詐欺よりも発見が難しい点にあります。
本コラムでは、マルバタイジングの手口や被害の実態、そして効果的な対策について詳しく解説していきます。

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目次

マルバタイジングの基礎知識

マルバタイジングとは何か

マルバタイジング(Malvertising)は、「Malware(マルウェア)」と「Advertising(広告)」を組み合わせた用語で、正規の広告配信の仕組みを悪用してマルウェアなどの有害なコンテンツを拡散する攻撃手法です。この手法の危険性は、ユーザーが信頼する正規サイトに表示される広告を通じて被害が広がるため、気づきにくく防ぎにくい点にあります。

従来の広告詐欺との相違点

従来の広告詐欺は、偽の商品やサービスで消費者を騙し、直接的に金銭を詐取する手口が中心でした。これに対し、マルバタイジングはデバイスへのマルウェア感染を目的とし、個人情報の窃取やランサムウェアによる脅迫など、より深刻な損害を引き起こします。また、正規の広告配信システムを利用することで警戒心を回避し、被害が拡大しやすくなっています。

マルバタイジングの攻撃手法

マルバタイジングで特に注意すべき点は、大手広告ネットワークが悪用される点です。通常、広告配信には内容やリンク先の審査が実施されるため、不正な広告が簡単に掲載されることはありません。しかし攻撃者は、審査時には正規の広告を用意し、実際の配信時に不正な内容へ差し替えたり、特定の地域や時間帯だけに限定して表示させるなど、様々な回避手段を用いて広告ネットワークの審査をかいくぐっています。

マルバタイジングがもたらす被害

個人ユーザーへの影響

マルバタイジングは個人ユーザーに多様な被害をもたらします。最も深刻なのは、マルウェア感染によるデータ窃取や金銭的被害です。たとえばバンキング型トロイの木馬に感染すると、オンラインバンキングの認証情報が盗まれ、不正な出金被害に遭う危険性があります。
また、ランサムウェアに感染すれば大切なファイルが暗号化され、復号のために金銭を要求されます。さらに個人情報の漏洩により、プライバシー侵害やなりすまし犯罪の被害者となるリスクも懸念されます。

企業や広告業界が受ける影響

マルバタイジングは企業や広告業界にも重大な影響を与えます。広告を掲載しているサイトの信用が損なわれることで、ユーザー離れや広告収入の減少といった問題が発生します。広告ネットワークやプラットフォーム運営者は、セキュリティ強化や被害対応に大きなコストを負担することになります。加えて、マルバタイジングの増加によりオンライン広告全体への信頼が低下し、デジタル広告市場の健全な発展が妨げられています。

不正広告を見分けるポイント

不自然な表現や内容

不正広告を見分けるには、まず違和感のある表現に注目しましょう。過度に誇張された文言や切迫感を煽る表現(「今すぐクリック!」「期間限定!」など)が目立つ広告は警戒が必要です。また、著名人や大手企業の名前を無断使用している広告、文法的に誤りがある表現や不自然な日本語表現も不正広告の可能性があります。

リンク先URLの確認

広告をクリックする際は、事前にリンク先のURLを必ず確認しましょう。多くのブラウザでは、リンク上にマウスを重ねることでURLを確認できます。正規ドメインと似せた「ドッペルゲンガードメイン」(例:「googIe.com」のように小文字の「l」を大文字の「I」で代用)や、無関係なドメインへのリダイレクトには注意が必要です。HTTPSではなくHTTPで始まるURLは、セキュリティリスクが高いため避けるべきです。

マルバタイジング対策の現状

広告配信プラットフォームの取り組み

主要な広告配信プラットフォームは、マルバタイジング対策に積極的に取り組んでいます。Googleは機械学習を用いた広告スキャンシステムにより、有害コンテンツの検出精度を高めています。Microsoftはリアルタイムで広告内容を解析し、不正な広告を即座に遮断する技術を開発しています。これらのプラットフォームでは広告主の審査基準を厳格化し、不正なアカウントを迅速に停止する体制を構築しています。さらに業界全体での情報共有やセキュリティ企業との協力を強化し、新たな脅威への迅速な対応を進めています。

セキュリティ企業による対応

セキュリティ企業は、マルバタイジングに特化した対策ソリューションの開発に力を入れています。ネットワークトラフィックをリアルタイムで監視し、不正な広告配信を検知・遮断するシステムや、広告コンテンツを動的に解析する技術が開発されています。AIを活用した行動分析により、従来の手法では発見が困難だった新種の脅威にも対応できる製品が登場しています。
さらにセキュリティ企業は、マルバタイジングの手口や最新の脅威動向を継続的に調査・公開し、ユーザーや企業への啓発活動にも貢献しています。

マルバタイジングへの具体的な対策

セキュリティソフトの導入と更新

セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態を維持することで、マルバタイジングから身を守ることができます。多くのセキュリティソフトには、既知のマルウェアや危険なWebサイトを遮断する機能が備わっています。高度なセキュリティ製品では、AIや機械学習を活用して未知の脅威も検知・防御できます。

ブラウザ設定と拡張機能の活用

マルバタイジング対策として、ブラウザの設定を最適化することが重要です。まず、ブラウザを常に最新版へ更新し、セキュリティパッチを適用することで既知の脆弱性を防げます。ポップアップブロッカーを有効化し、不要な広告表示を制限することも有効です。広告ブロック機能を持つ拡張機能を使用すれば、多くの不要な広告やトラッキングスクリプトを遮断できます。ただし、信頼できる開発元の拡張機能のみを使用し、過度に多くの拡張機能をインストールしないよう注意しましょう。

最新の脅威情報を把握する

サイバーセキュリティの脅威は日々変化しており、マルバタイジングの手法も進化し続けています。最新の脅威情報を継続的に把握することが重要です。以下の方法で最新情報を入手し、防御策を更新できます。

  • 信頼できるセキュリティ企業のブログや脅威情報サイトを定期的に確認する
    大手セキュリティ企業の多くは、一般向けに最新の脅威動向をわかりやすく解説しています。
  • 政府機関が提供するサイバーセキュリティ情報を活用する
    警察庁やIPA、JPCERTなどが定期的に脅威情報や対策方法を公開しています。
  • テクノロジー関連のニュースサイトを活用する
    最新のセキュリティトレンドを知る有益な情報源となります。

最新の脅威情報を把握することで、新しい形態のマルバタイジングにも迅速に対応できます。家族や同僚にもこれらの情報を共有することで、周囲のセキュリティ意識向上にもつながります。

セキュリティ意識の向上

マルバタイジングから身を守るには、セキュリティに関する知識と意識を高めることが不可欠です。以下のポイントに注意を払うことが重要です。

  • 情報源の信頼性を確認する習慣をつける
    広告や記事の出典が明確で信頼できるものか、常に確認しましょう。
  • 「好条件すぎる話」には警戒する
    過度に魅力的な商品やサービスの広告には詐欺の可能性があることを認識しましょう。
  • SNSやメッセージアプリで共有される情報には慎重に対応する
    知人からの共有であっても、その情報の真偽を独自に確認する習慣をつけましょう。

セキュリティ意識を高めることで、マルバタイジングだけでなく、フィッシング詐欺やSNSを利用した攻撃からも身を守ることができます。

よくある質問(Q&A)

Q1. マルバタイジングとアドウェアの違いは何ですか?

マルバタイジングは広告ネットワークを通じて配信される悪意のある広告そのものを指し、デバイスへのインストールは不要です。一方、アドウェアはデバイスにインストールされるソフトウェアで、広告を表示することを目的としています。マルバタイジングの方が防御が難しく、信頼できるサイトでも被害に遭う可能性があります。

Q2. 広告をクリックしなければ安全ですか?

必ずしも安全とは限りません。マルバタイジングの中には、広告が表示されるだけでマルウェアに感染する「ドライブバイダウンロード」と呼ばれる攻撃手法も存在します。そのため、セキュリティソフトの導入やブラウザを最新の状態に保つことが重要です。

Q3. 信頼できる大手サイトでもマルバタイジングの被害に遭いますか?

はい、可能性があります。マルバタイジングは正規の広告ネットワークを悪用するため、大手企業のサイトやニュースメディアなど信頼性の高いサイトでも不正な広告が表示されることがあります。サイト自体のセキュリティとは別の問題であることを理解しておく必要があります。

Q4. スマートフォンもマルバタイジングの標的になりますか?

はい、スマートフォンもマルバタイジングの標的となります。不正なアプリをインストールさせようとする手口や、モバイルブラウザの脆弱性を狙った攻撃が確認されています。スマートフォンでもセキュリティソフトの導入やOSの定期的な更新が重要です。

Q5. 企業としてマルバタイジング対策で優先すべきことは何ですか?

企業では、従業員へのセキュリティ教育、エンドポイントセキュリティの強化、広告ブロッカーの導入、定期的なセキュリティアップデートの実施が重要です。また、自社で広告を出稿する場合は、広告アカウントの管理を厳格にし、二段階認証を設定するなどの対策も必要です。

まとめ

マルバタイジングは、デジタル広告の信頼性を脅かす深刻な問題として、今後さらに進化していくことが予想されます。こうした脅威への対策として大切なのは、最新の脅威情報を継続的に収集し、状況に応じた対策を実施していくことです。デジタル広告は企業の製品やサービスを広く伝えるための重要なツールであり、個人にとっても有益なサービスを知る手段です。個人、企業、広告業界が協力してセキュリティ意識を高め、マルバタイジングによる被害を最小限に抑えましょう。
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