検出困難!?ファイルレスマルウェアの脅威と対策

検出困難!?ファイルレスマルウェアの脅威と対策
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ファイルレスマルウェアは、従来の対策では検出が難しく、企業や個人に大きな脅威となるマルウェアです。本記事では、ファイルレスマルウェアの仕組みや特徴を解説し、最新の攻撃事例を交えながら、効果的なサイバーセキュリティ対策を具体的にご説明します。

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目次

ファイルレスマルウェアとは?

ファイルレスマルウェアの定義

ファイルレスマルウェアとは、感染先のPC上にファイルを残さずに攻撃を行うマルウェアの一種です。従来のマルウェアは実行可能ファイルなどの形式で保存され、そのファイルを実行することで攻撃を開始しますが、ファイルレスマルウェアはメモリ上で直接実行されるという大きな違いがあります

従来のマルウェアとの違い

従来のマルウェアはファイルとして保存されるため、シグネチャベースのアンチウイルスソフトによる検出が比較的容易でした。一方、ファイルレスマルウェアはディスク上にファイルを残さないため、従来のアンチウイルスソフトでは検出が困難です、さらに、感染先のシステムにすでに存在する正規のツールやプロセスを悪用して攻撃を行うため、不審な動作を見抜くことが極めて困難となっています。

ファイルレスマルウェアの攻撃方法とその仕組み

ファイルレスマルウェアは、フィッシングメールやマルバタイジング(不正な広告)を通じて感染先のPCに侵入します。侵入後、PowerShellやWMI(Windows Management Instrumentation)などのWindowsシステムにデフォルトでインストールされている正規のツールを悪用して攻撃を実行します。このタイプのマルウェアはメモリ上で直接実行されるため、システム再起動により消失する永続性の低さがある一方で、検出が難しく、感染が拡大しやすいという特徴があります。

ファイルレスマルウェアはなぜ危険なのか

ファイルレスマルウェアは、次のような理由から特に危険とされています。

検出が困難

  • ファイルレスマルウェアは、ファイルを作成せずにメモリ上で直接実行されるため、シグネチャベースの従来のアンチウイルスソフトでは検出が困難
  • ディスク上の痕跡が少ないため、事後のフォレンジック調査での発見も極めて困難

正規のツールを悪用

  • PowerShellやWMIなどのWindowsに標準搭載された正規のツールを悪用するため、セキュリティソフトによる検知を巧みに回避
  • 管理者権限で実行される正規のツールを悪用することで、システム内で高い権限での活動が可能

感染経路の多様化

  • フィッシングメール、脆弱性の悪用、正規のWebサイトの改ざんなど、様々な感染経路を持つ
  • ユーザーの明示的な操作を介さずに感染する場合もあり、人的ミスによるリスクが高い

情報窃取の危険性

  • ファイルレスマルウェアは、感染したシステムから機密情報や個人情報を窃取するために頻繁に使用される
  • メモリ上で直接実行されるため、一時的に復号された状態の暗号化データも窃取される危険性がある

他の攻撃の踏み台に利用される危険性

  • ファイルレスマルウェアに感染したシステムが、さらなる攻撃の踏み台として悪用されるリスクが存在
  • 感染したシステムがボットネットに組み込まれ、DDoS攻撃や追加のマルウェア配布に利用される可能性がある

ランサムウェアとの組み合わせ

  • ファイルレスマルウェアは、初期侵入の手段としてランサムウェア攻撃と組み合わせて利用されることが増加
  • 従来のマルウェア対策では防御が困難で、メモリ上の動作を監視し、異常を検知する高度なセキュリティ対策が必須

これらの特徴から、ファイルレスマルウェアは企業や組織にとって深刻な脅威となっています。

対策

人的対策

ファイルレスマルウェアに対する人的対策としては、以下のようなことが挙げられます。

セキュリティ教育の徹底

従業員に対して、不審なメールの添付ファイルを開かないことや、信頼できないWebサイトにアクセスしないことなど、基本的なセキュリティ対策について定期的な教育を実施する。

最低限の権限付与

管理者権限を持つユーザーを厳しく制限し、各ユーザーに与える権限は、業務遂行に必要な最小限のものに留める。

不審な動作の監視と報告

従業員が不審なシステムの動作や、通常とは異なる挙動を発見した場合、速やかにIT部門やセキュリティチームに報告するよう周知することで被害を最小化する。

インシデント対応計画の策定

ファイルレスマルウェアによる感染が発生した場合に備え、対応手順を明確化し、関係者への速やかな連絡体制を整えたインシデント対応計画を事前に策定しておく。

セキュリティ意識の向上

従業員のセキュリティ意識を高めるために、定期的な啓発活動を実施する。ファイルレスマルウェアの脅威や、その対策について理解を深めてもらう。

これらの人的対策でファイルレスマルウェアのリスクを効果的に低減することができます。しかし人的対策のみでは不十分であり、次に述べる技術的な対策と組み合わせて復号的に対策することが求められます。

技術的な対策

ファイルレスマルウェアへの対策としては、以下のような多層的なアプローチが有効です。

OSやソフトウェアの更新

最新のセキュリティパッチを適用し、既知の脆弱性を迅速に修正する。

アプリケーションの制御

信頼できないソースからのアプリケーションのインストールを制限し、PowerShellやマクロなどの悪用されやすい機能の実行を厳格に制御する。

ネットワークのセグメント化

重要なシステムやデータを隔離し、万が一の侵入時にも影響範囲を最小限に抑える。

ログの監視

システムやネットワークのログを継続的にモニタリングし、不審なアクティビティを早期に検知する。SIEM(Security Information and Event Management)ツールの導入が効果的。

バックアップの実施

定期的にデータのバックアップを取得し、ファイルレスマルウェアやランサムウェアの感染時の迅速な復旧に備える。

アプリケーションの隔離化

コンテナ技術やシステムの仮想化により、アプリケーションを分離し、感染の拡大を効果的に防ぐ。

これらの対策を組み合わせることで、ファイルレスマルウェアのリスクを大幅に減らすことができます。ただし、攻撃手法は常に進化しているため、継続的にセキュリティ対策を見直し、改善していくことが肝要です。

EDRの利用

ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアとは異なり、ファイルを作成せずにシステムに侵入し、悪意のある活動を行います。このタイプのマルウェアは、既存のシステムツールやプロセスを巧妙に悪用して、検出を回避しながら動作します。

従来のシグネチャ方式の対策では、マルウェアのファイルに含まれる特定のパターンを識別することで検知を行います。しかし、ファイルレスマルウェアはファイルを作成しないため、シグネチャ方式では検知することができません。

そのため、ファイルレスマルウェアへの対策には、振る舞い検知方式が必要不可欠となります。振る舞い検知方式では、システム上で発生する異常な動作やパターンをリアルタイムで分析し、ファイルレスマルウェアの活動を検知します。具体的には、以下のような手法が用いられます。

1. プロセスの監視:不審なプロセスの動作や、既存のプロセスへの不正な注入を検知する。
2. ネットワークトラフィックの分析:マルウェアが外部のC&Cサーバーと通信する際の異常なトラフィックを検知する。
3. メモリの監視:メモリ上で実行されるマルウェアの動作を検知する。
4. APIコールの監視:マルウェアが悪用する可能性のあるAPIコールを監視する。

これらのことから、ファイルレスマルウェア対策にはEDR(Endpoint Detection and Response)が持つ振る舞い検知と防御機能が特に有効であると言えます。

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まとめ

ファイルレスマルウェアは従来の対策では防ぎにくい高度な脅威です。従来のマルウェアと同様に人的対策を徹底するほか、ファイルレスマルウェアに特化した対策となるEDRなどの次世代セキュリティツールを導入し、多層的な防御体制を構築することが重要です。攻撃手法の進化に対応するため、継続的なセキュリティ対策の見直しと改善を心掛けましょう。

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